[力学]

剛体の力学 (3)

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質点や剛体の近似をすることによって、質点系の状態をしめす数量の個数が少なくなる

剛体の運動は、重心の運動と、重心のまわりの回転とのたしあわせで考えることができる。

注

• 運動量 = 質量 かける 速度
• 角運動量 = 慣性モーメント かける 角速度

剛体の運動の問題の複雑さによる分類

剛体の姿勢の表現

基準となる座標系 (原則として 慣性系、しかし地球上では地球に固定した座標軸をつかうことが多い) を (x,y,z)とする。

剛体に固定した座標系 (x', y', z') を考える。

基準となる座標系から、剛体に固定した座標系へは、「x軸のまわりの回転」「y軸のまわりの回転」「z軸のまわりの回転」を組み合わせれば変換できる。

ただし、回転操作の組み合わせの結果は順序によってちがう (回転操作には交換法則がなりたたない)。

また、「座標軸を回転する操作」か「物体の座標値を変換する関数」かによって符号が逆になることがある。

3つの回転角による表現の標準的なものを「オイラー (Euler) 角」ということがある。

航空関係では、3つの回転角を、「ロール (roll)」、「ピッチ (pitch)」(上下角)、「ヨー (yaw)」(方位角) という。

• [外] Wikipedia日本語版 [[ローリング]] [[ピッチング]] [[ヨーイング]] の図を見よう。

力のモーメントの基本からみちびかれる有用なことがら

• 回転軸上の点に働く力は力のモーメントをもたない。
• 回転軸に平行な力は力のモーメントをもたない。
• 力の作用点を作用線上で移動させても、力のモーメントは変わらない。 (軸からの (軸に垂直にはかった) 距離は変わらないので。)

偶力

剛体の回転角速度が変わるが、重心の運動速度は変わらないときには、 剛体上で ある距離だけ離れた点に、大きさが同じで向きが反対の力が働いている。 この両方をあわせたものを「偶力 (couple of force)」という。

コマ の「みそすり運動」、「歳差運動」(precession)

回転軸が回転する問題の例。ただし、軸上の1点は固定しているものとする。

「みそすり」は、みそ の 豆や穀物の形がいくらか残った つぶつぶ をすりつぶすために、 すりばち の中で すりこぎ を動かしてする作業である。 ここでは、形がにているのでたとえにつかっている。

「歳差」という語はおもに地球の自転軸の方向の変化 (2万数千年で1周) をさす。 古くから知られていた現象としては、天の北極 (星のみかけの日周運動の中心) が天球で移動し、北極星が入れかわっていく。

• [外] Wikipedia 日本語版 [[歳差]]

副島・杉山の 12.4節「歳差運動」と長谷川の第5章「コマは押した方向には動かない」を参考に、 概略を説明する。

• 副島 雄児, 杉山 忠男, 2009: 『力学 (講談社 基礎物理学シリーズ 1)』。講談社, 222 pp. ISBN 978-4-06-157201-0. [読書メモ]
• 長谷川 律雄, 2015: 『力学入門 -- コマから宇宙船の姿勢制御まで』 (中公新書 2354)。中央公論新社。 [読書メモ]

副島・杉山 (2009) より

• (*) [「12.4 歳差運動」前半]
• (*) [「12.4 歳差運動」後半]
• (*) [図12.10 こまの歳差運動]
• (*) [図12.11 角運動量ベクトルの回転]