The Elements of Graphing Data (Cleveland) 読書ノート補足

地理的データについて

Cleveland (1985)で、 地理的分布をもったデータの表現方法に関する議論は、 一つの事例だけに限られている。 添削対象となる図は、行政区画ごとに得られている社会統計的な数値を、 地図を濃淡でぬりわけることによって示したものである。 この表現について、次の二つの問題点が指摘されている。

• (印刷がよければ)濃淡から数値の大小の順序関係を知覚することはできるが、 差あるいは比が議論できるような数値の情報は知覚できない。
• ここで表示されている数値は面積あたりのものではない (実は人口あたりのものである)。 しかし、読む人の知覚には、 (面積の知覚のゆがみの問題もあることはあるが、大筋で) 数値に面積がかかったようなものとして伝わってしまう。

このようなデータの表示方法として、著者が勧めているのは、 各行政区画ごとに、同じ大きさ・形の長方形をかき、 その長方形の中を黒と白に塗りわけ、その黒の割合として数値を示すことである。 つまり、基本的には長さの知覚を使うわけだが、 それだけ(つまり、各区画にそれぞれ違った長さの棒を立てる方法)では 知覚の正確さが不じゅうぶんなので、 一定の長さに対する比の知覚を併用したものだと考えられる。

文献

• William S. Cleveland 著, 1985年: The Elements of Graphing Data. Monterey CA USA: Wadsworth.