小レポート (2021-06-29)の問題の修正と答えの概略

ひとつの温帯低気圧をふくむ気圧の谷による南北エネルギー輸送の

(問い 1) 北風と南風はそれぞれ、単位質量あたりどれだけのエネルギーをもっているか?

• 北風 -5 K × 1000 J/(kg K) = -5.0 × 10³ J/kg
• 南風 +5 K × 1000 J/(kg K) = +5.0 × 10³ J/kg

(問い 2) 北風と南風として、それぞれ上にのべた直方体の空気が動くとしたとき、 それぞれどれだけのエネルギーをもっているか?

• ひとつの直方体の質量が、(1.0×10⁵ m)² × 4.0 × 10³ kg/m² = 4.0 × 10¹³ kg 。
• 北風の直方体のもつエネルギーは -5.0 × 10³ J/kg × 4.0 × 10¹³ kg = -2.0 × 10¹⁷ J
• 同様に、南風の直方体のもつエネルギーは +2.0 × 10¹⁷ J
【6日の授業中に見せたときは18乗となっていましたが、17乗と訂正します。】

(問い 3) 問い 2 の空気がそれぞれ 10 m/s で南北に動くとする。 (風速の南北成分は北向き(南風)を正にとるという約束にしたがえば、 北風は -10 m/s、南風は +10 m/s である。) 単位時間あたりに南北方向にはこぶエネルギー (北向きを正とする) は、両方あわせてどれだけになるか? (単位時間あたりにはこぶエネルギーの SI 単位は W (ワット)、つまりジュール毎秒。)

まことにすみません。出題がうまくありませんでした。

すなおに、問い2 の答えに 10 m/s をかけると、 答えの単位が J m/s、つまり W かける m 、量の次元が エネルギー かける 長さ わる 時間に なってしまい、問い 3 の答えになりません。

直方体の南北方向の寸法をあたえるならば、空気塊がその寸法のぶんだけ南北に動く時間も 考慮しなければならないのでした。 【10 m/s で 100 km 動くのには 1万秒かかるので、問い2 で得られたエネルギーの量を 1万秒でわってやれば、期待する答えは得られます。 しかし、問題文は、その考えにいたるきっかけのないものになっていました。】

問い2 と 問い 3 のかわりに、 1秒間に、東西方向 100 km、南北方向には 10 m の直方体の空気が動く、と いう考えかたをするべきでした。

• ひとつの直方体の質量が、1.0×10⁵ m × 10 m × 4.0 × 10³ kg/m² = 4.0 × 10⁹ kg 。
• 北風の直方体のもつエネルギーは -5.0 × 10³ J/kg × 4.0 × 10⁹ kg = -2.0 × 10¹³ J。 これが南向きに動くので、単位時間あたりのエネルギー輸送量は +2.0 × 10¹³ W
• 同様に、南風の直方体のもつエネルギーは +2.0 × 10¹³ J。 これが北向きに動くので、単位時間あたりのエネルギー輸送量は +2.0 × 10¹³ W
• 合計の単位時間あたり北向きエネルギー輸送量は、+4.0 × 10¹³ W

結果は、中緯度大気の極向きエネルギー輸送量 4×10¹⁵ W の100分の1ぐらいになります。 【「W」がぬけていたので補足しました。】 実際の温帯低気圧は、ここで考えた直方体よりも、およそ1けた大きい質量の空気を交換しているので、 それが10個ぐらいあれば、中緯度大気の極向きエネルギー輸送量を説明できます。