地球観測衛星に使われるおもな衛星軌道--気象衛星を中心に

地球静止(geostationary)軌道。

赤道上, 地球半径の約6倍の半径。

• 日本の「ひまわり」 (1-5号はGMS、6-7号はMTSAT。 1号は1977年打ち上げ, 1978年から観測)を含む 5つの気象衛星で低緯度の全域をカバー。

太陽同期(sun-synchronous)極(polar)軌道。

両極の付近を通過、 地方時(local time)で毎日ほぼ一定の時刻に観測。

• USAの気象衛星NOAAシリーズは、常に2台が継続されている。 観測時刻は、それぞれ、午後(・午前)2時ごろと、午前(・午後)6時ごろ。 ただし、厳密に太陽同期になるよう調節されておらず、少しずつ遅れる。
• Landsatも太陽同期極軌道(太陽放射波長帯の観測可能なのは午前9時ごろ)。 LandsatとNOAAは軌道の高さはほぼ同じだが、 左右を走査する幅がNOAAのほうが広い。 したがって、地上のある場所が観測にかかる頻度はNOAAのほうが高い。 他方、画像のゆがみはNOAAのほうが大きい。
• USAのNASAが主体となった地球観測衛星 Terra (2000年2月から)とAqua (2002年6月から)も太陽同期で、 Terraは午前・午後10:30ごろ、Aquaは午前・午後1:30ごろ。

その他の円軌道。

静止衛星よりも低い高さで低緯度を中心に観測したい、 観測時刻を一定させたくない(日周期変化の公平なサンプルをとりたい)などの 理由で、赤道に対して斜めの軌道が選択されることがある。 ある緯度から低緯度側だけが観測される。 例は、ERBE (地球放射収支観測実験)のERBS、 TRMM (熱帯降雨観測衛星)[別ページ参照] などがある。TRMMの上限緯度は約35度。 計画中のGPM (全球降水観測)のCore衛星は、 上限緯度はTRMMよりは高緯度になるが、やはり斜めの軌道にする予定。

Molniya軌道。

高緯度を見る地球静止軌道は不可能なので、 それに代わって高緯度の観測時間を長くするために旧ソ連で考案された軌道。 円から大きくはずれた楕円である。 Kidder and Vonder Haar (1995) [参考書]に説明がある。 現在この軌道を使った地球観測衛星はないようだが、 ESA(ヨーロッパ宇宙機構)の計画の中では検討されているそうだ。

世界の気象衛星観測網 (気象の現業観測の項の教材の一部、SFC only)