アメダス日別値の気温、降水量、日照時間、積雪深、降雪深、風の地図上表示

気象庁の「気象観測月報」という CD-ROM の形で 2010年から2019年までの全国の観測値を取り寄せた。 (このシリーズの CD-ROM がつくられたのはこの10年ぶんだけである。) これにふくまれているアメダスの日別値をとりだした。 ここでは、とりだされた月別・地点別・気象要素別のファイルを読んで地図上に作図する。 観測値を数字で表示することと、風を矢印で表示することだけができている。 ただし、地形標高の段彩をかさねている。 【今後できれば、そのほかの表現方法も紹介したい。 とくに、時系列グラフをつくるプログラムを追加する予定。】

例文のプログラムで、2010-2019年のどの時期でもあつかうことができる。 ただし、月をまたがることはできない。 地域も、日本全国あつかうことができる。

【同じ CD-ROM からとりだしたアメダスの時別値 (1時間ごとの値) の作図プログラム例は、 BFG合同セミナー教材ページ [アメダス時別値の風、気温、降水量、日照時間の地図上表示] (exa, 2024-07-16, 更新 2024-07-23) で紹介した。】

実行方法

Pythonプログラムの例文は、 niigata, hamana とも /home/masudako/ex/geppo_amedas_daily に置いてある。 それぞれのプログラム (「.py」でおわる名まえのファイル) を自分の作業ディレクトリにコピーしてほしい。

地点表ファイル amedas_stn.csv が作業ディレクトリにあることを前提としている。 これは /home/masudako/ex/geppo_amedas_daily/amedas_stn.csv をコピーしておいてほしい。

また、作業ディレクトリの下に image というディレクトリがあることを前提としている。 このディレクトリ名は各プログラムのうしろのほうで設定している変数 imagefilepath で 指定しており、そこで変更可能。

ここでつかうアメダス観測値のデータは、 /diskb/jma_kansoku_geppo/ の下の tmpdaily, precipdaily, sundurdaily, snowdaily, winddaily というディレクトリに置いてあるものを読むので、自分のところにコピーする必要はない。 (もし、別のところに置かれたデータを読むばあいは、 プログラムのなかの datapath という変数にあたえる文字列を変更する。)

このほかに、地形標高データ (国土数値情報「1 kmメッシュ」のデータを増田が編集したもの) が /diskb/kokudo/ の下に、 都道府県境界データ (Natural Earth より) が /home/masudako/mapdata/ne/ の下に あることを前提としている。

プログラムを編集し、はじめの部分のつぎのところを必要に応じて調節する。

• (複数の気象要素をあつかうプログラムでは) 気象要素の番号 jvar
• 年・月 ... year, month
• 日付の範囲 ... daystart, dayend
• 経度・緯度の範囲 ... lonmin, lonmax, latmin, latmax
• (値を数字で表示するばあい) 文字の大きさ ... fontsize
• (風を矢印で表示するばあい) 風速と矢印の長さとの換算係数 ... arrowscale

python で 実行する。

データ

気象庁 気象観測月報 CD-ROM (2010-2019年) の アメダス日別値のファイルから気象要素ごとの値を抽出して、つぎのような CSVファイルを作成した。

• tmpdaily/tmpdailyYYYYMM_SSSSS.csv : YYYY年 MM月の アメダス地点番号 SSSSS の地点の 日平均気温、日最高気温、日最低気温 (℃)。
• precipdaily/precipdailyYYYYMM_SSSSS.csv : YYYY年 MM月の アメダス地点番号 SSSSS の地点の 日降水量 (mm/d)。
• sundurdaily/sundurdailyYYYYMM_SSSSS.csv : YYYY年 MM月の アメダス地点番号 SSSSS の地点の 1日ごとの日照時間 (h)。
• snowdaily/snowdailyYYYYMM_SSSSS.csv : YYYY年 MM月の アメダス地点番号 SSSSS の地点の 日最大積雪深 (cm) と 日降雪深 (アメダス統計値ファイルフォーマットの用語では「積雪前1時間差日合計」) (cm)。
• winddaily/winddailyYYYYMM_SSSSS.csv : YYYY年 MM月の アメダス地点番号 SSSSS の地点の 日平均風速 (m/s) と 日最多風向 (16方位の整数値)。

抽出にはつぎのプログラムをつかった。 w_tmpdaily.py, w_precipdaily.py, w_sundurdaily.py, w_snowdaily.py, w_winddaily.py。

各地点でどの気象要素が観測されているかの判断は、 2019年12月の地点表の各点ごとの最新の行の情報にもとづいた。 したがって、2019年12月よりもまえの時期に観測されていた気象要素を 抽出しそこなっているかもしれない。

地点表データはつぎのように編集した。

• 2019年12月の月報CD-ROM にふくまれた amdmaster.index という CSVファイルをもとに、 おなじ地点番号をもつ行ごとに最後の行 (最新の期間の情報) だけをのこしたものを amedas_stn.csv とした。 (このファイルの最初の行は通し番号となっており、 各行が何であるかの情報は失われている。)
• このファイルには、2019年12月の時点で、 各地点で、降水量、気温、風、日照、積雪をそれぞれ観測していたかの情報がふくまれている。 (あとにしめす stnlist.csv にはふくまれていない。) このページのプログラム例ではその情報をつかう。
• このファイルには、観測地点名が、漢字、「半角」かたかな、ローマ字の3とおりでふくまれている。 日本語対応の Excel などでは正しくよめるが、 Linux の端末上の less などでは文字化けする。
• 【2024年7月のセミナー教材とした [アメダス時別値の風、気温、降水量、日照時間の地図上表示] (exa) の amedas_stn.csv は、これとほとんど同じであるが、2018年1月の月報CD-ROM にもとづくものであった。】
• 各行の意味を確認するため、amdmaster.index の最初の2行をとりだして、 amedas_stn_headrows.csv としておいた。
• 上記の amedas_stn.csv から、 アメダス地点番号、地点名 (ローマ字)、緯度、経度、標高 をぬきだしたファイル stnlist.csv を作成し、同じディレクトリに置いた。 緯度・経度は「度」とその小数に換算した。 Linux 上で地点番号と地点名の対応をみるには、このファイルをみるとよいだろう。
• 地点名ローマ字表記は、気象庁のファイルからひきついでおり、 全部大文字で、ローマ字つづりの方式は、ヘボン式、長音記号省略、 「ん」は m, b, p の前では m となっている。

地点表の編集にはつぎのプログラムをつかった。 stn_uniq.py, stn_headrows.py, stn_summary.py。

地図上の表示プログラムで共通のこと

図には、国土数値情報の約1 km 格子のデータにより、 地形標高を段彩でかさねている。 標高と色との関係は、levelstopo と colorstopo というリスト変数で指定している。 【これが不要のばあいは、「# 標高の等値線をひく」というコメントのあと、 「### 観測点と観測値を表示する」というコメントの前までの実行文を コメントにするか消せばよい。 「# 標高データを読む」から 「# データを読む」の前までも 不要になるので、これもコメントにするか消すのがよい。】

imagefilepath で指定したディレクトリ (例文のままならば実行ディレクトリの下の image ) に画像ファイルをつくる。

(1) 気温の数字による表示

• (プログラム例) map_geppo_tmp_daily_w_topo.py (日本語文字コード UTF-8)

• jvar = 0: 日平均気温 (出力ファイル名中の気象要素略号 tmp)
• jvar = 1: 日最高気温 (tmpmax)
• jvar = 2: 日最低気温 (tmpmin)

日ごとに地図をかいて、 指定した緯度経度範囲の内にある観測点の位置に「+」印を置き、 その上側に気温を数字で表示する。

• 「利用フラグ」の値が 0 以上 3 以下のときは、「正常値」なので、 文字の色を青にし、数値を表示する。
• 「利用フラグ」の値が 3 より大きく 11以下のときは、「準正常値」とされているので、 文字の色をマゼンタにし、数値を表示する。
• 「利用フラグ」の値が 11 よりも大きいときは、データ欠損とみなし、 赤で「NA」と表示する。 (「資料不足値」「疑問値」の数値は表示しないことにした。)

(2) 降水量の数字による表示

• (プログラム例) map_geppo_precip_daily_w_topo.py (日本語文字コード UTF-8)

気象要素略号は precip。

jvar による選択はない。

文字の色は、基本的に気温のばあいと同様だが、 正常値のうち、値が 0 であるばあいを区別して、緑にした。 これは「現象なし」つまり「無降水」を判断したものではなく、 無降水と、観測機器の測定限界未満の降水をふくんでいる。

(3) 日照時間の数字による表示

• (プログラム例) map_geppo_sundur_daily_w_topo.py (日本語文字コード UTF-8)

気象要素略号は sundur。

jvar による選択はない。

文字の色は、基本的に気温のばあいと同様だが、 正常値のうち、値が 0 であるばあいを区別して、緑にした。 これは「現象なし」つまり「日照なし」を判断したものではない。

(4) 積雪深・降雪深の数字による表示

• (プログラム例) map_geppo_snow_daily_w_topo.py (日本語文字コード UTF-8)

• jvar = 0: 日最大積雪深 (snodep)
• jvar = 1: 日降雪深 (snoacc) (アメダス統計値ファイルフォーマットの用語では「積雪前1時間差日合計」)

文字の色は、基本的に気温のばあいと同様だが、 正常値のうち、値が 0 であるばあいを区別して、緑にした。 これは「現象なし」を判断したものではない。

(5) 風速・風向の数字・文字による表示

• (プログラム例) map_geppo_wind_numbers_daily_w_topo.py (日本語文字コード UTF-8)

• jvar = 0: 日平均風速 (windsp)
• jvar = 1: 日最多風向 (winddir)

風向は16方位で、データファイルには整数値で収録されているが、 図にしめす文字は英語の略語 (北北東ならば「NNE」)、静穏は「C」とした。

文字の色は、基本的に気温のばあいと同様だが、 正常値のうち、風向については静穏を緑にした。

(6) 風のベクトル表示

• (プログラム例) map_geppo_wind_daily_w_topo.py (日本語文字コード UTF-8)

出力ファイル名にふくまれる気象要素略号は wind。

観測地点の位置に○印をかき、 それを基点として、日平均風速と日最多風向を (仮に) ひとつのベクトルの大きさと向きであるとみなして、 矢印表示する。

静穏のばあいは、二重まるにする。

風速と矢印の長さとの関係は、係数 arrowscale できめている。 この値を大きくすると、矢印が短くなる。

矢印を表示するのは、風速と風向がいずれも正常値または準正常値のばあいとした。 正常値と準正常値の区別はとくにしめしていない。