ひまわり陸面温度の利用 (学内むけメモ、暫定)

データの概略

ここで紹介する「ひまわり陸面温度」データセットは、 気象衛星ひまわり8号・9号の赤外センサーのデータにもとづいて、 山本 雄平さん (千葉大学 環境リモートセンシング研究センター) が作成したものを、 山本さんの了解をいただいて、千葉大学の研究室の ftp サイトからダウンロードしたものである。 山本さんのデータは、緯度・経度 0.02 度間隔で、 南緯60度～北緯60度、東経85度～西経155度の範囲の、陸面と判定された格子点についてつくられており、 1時間ごとの値が ftp サイトにある。 それにくわえて、「日本付近」の 北緯20～50度、東経120～150度にかぎったデータファイルもある。 ここではこの「日本付近」のほうを利用する。 日本付近については10分ごとの値があり、hamana にダウンロードしているが、 ここでは時間間隔を1時間にして毎正時だけのデータをつかう。 (正時が欠測のときに10分後の観測値をつかう可能性はあるが、まだしていない。)

データ形式は単純バイナリデータである。 ひとつの数値が4バイト浮動小数点型 (little endian) で表現され、 それが、各時刻ごとに 1500×1500個 つながったファイルになっており、 それが gzip で圧縮されている。 数値は、地表面温度を ℃ であらわしたものである。 日時の情報は、ファイル名にふくまれている。(時刻のtime zone は UTC である。) データ欠損 (陸でない、雲があって地表が見えない、などをふくむ) の画素には -999.0 という値がはいっている。

これまで見たところで、散発的に、その日時の地表面温度としてはありえないと思われる値が はいっていることがある。いったんきめたアルゴリズムにしたがった計算結果としては正しいのだろう。 解析のうえではそのような画素の値をはずすべきだが、まだそのしくみを用意できていない。

データの参考文献

• Yamamoto, Y., Ishikawa, H., Oku, Y., Hu, Z., 2018. An algorithm for land surface temperature retrieval using three thermal infrared bands of Himawari 8. J. Meteorol. Soc. Japan, 96B: 59-76. https://doi.org/10.2151/jmsj.2018-005
• Yamamoto, Y., Ishikawa, H., 2018. Thermal land surface emissivity for retrieving land surface temperature from Himawari 8. J. Meteorol. Soc. Japan, 96B: 43-58. https://doi.org/10.2151/jmsj.2018-004
• Yamamoto, Y., Ichii, K., Ryu, Y., Kang, M., Murayama, S., 2022. Uncertainty quantification in land surface temperature retrieved from Himawari 8/AHI data by operational algorithms. ISPRS J. Photogramm. Remote Sens. Sens., 191: 171-187. https://doi.org/10.1016/j.isprsjprs.2022.07.008

このデータをつかうプログラム例

プログラム例は、2024-10-14 現在、 hamana の /home/masudako/ex/himawari_lst/py202410/ に置いている。 (置き場は変更するかもしれない。)

各時刻の値を地図表示する

• (まえにつくったプログラムを整理してからここに置く予定)

ひとつの画素の時系列

• pixel_timeser.py ... 1画素の時系列をとりだす。 抽出する画素の緯度・経度と、対象となる期間のはじめ・おわりの年月日時を指定する。 結果は csv ファイルとして、current directory の下の timeser ディレクトリに置かれる。
• graph_pixel_timeser.py ... 上記の csv ファイルを読み、1画素の地表面温度の時系列をグラフにする。
• graph_pixel_diurnal.py ... 上記の csv ファイルを読み、0時から23時までの各時刻に対するグラフにする。

緯線経線でかこまれた長方形の箱の内で平均した値の時系列

• boxav_timeser.py ... 領域平均値の時系列を書きだす。 箱の端の緯度・経度と、対象期間のはじめ・おわりの年月日時を指定する。 結果は csv ファイルとして、current directory の下の timeser ディレクトリに置かれる。 (ファイル名に対象期間のはじめの日時がはいる。)
• graph_boxav_timeser.py ... 上記の csv ファイルを読み、領域平均値の地表面温度の時系列をグラフにする。
• graph_boxav_diurnal.py ... 上記の csv ファイルを読み、0時から23時までの各時刻に対するグラフにする。

多数の日の観測値を「時」ごとに平均して、平均的日変化を代表するデータをつくる

• meancycle.py ... 「日本付近」のうちで緯度経度の箱で指定された領域にあるそれぞれの画素について、 時刻別に、指定された期間にふくまれる日の値を平均する。全時刻の平均値もつくる。 結果は単純バイナリデータとして、 ../meancycle/ ディレクトリに置かれる。
• map_lstmeanhourly.py ... meancycle.py でつくられた時別値を地図表示する。 結果は画像ファイルとして、../mapimage/ ディレクトリに置かれる。
• map_lstmean.py ... meancycle.py でつくられた全時刻平均値を地図表示する。
• boxav_meanhourly.py ... meancycle.py でつくられた時別値を、緯線経線でかこまれたの箱の内で平均して書きだす。 結果は csv ファイルとして、current directory の下の timeser ディレクトリに置かれる。 (ファイル名が日時をふくまないものになっている。)
• graph_boxav_diurnal_w_mean.py ... 上記 graph_boxav_diurnal.py にかさねて、多数の日を平均した値も表示する。

サインカーブをあてはめる

• 参考 (そこでの例は年周期変化) [気象観測データに1年周期のサインカーブをあてはめる (Python による試作)]
• sinfit_boxav_diurnal.py ... boxav_timeser.py でつくられた csv ファイルを読み、サインカーブをあてはめて、 1年周期成分、半年周期成分などの振幅と位相を計算する。
• graph_boxav_diurnal_w_sinfit.py ... 上記 graph_boxav_diurnal_w_mean.py にかさねて、1年周期、および「1年周期+半年周期」の 曲線も表示する。