- 佐橋 紀男、高橋 裕一、村山 貢司, 1995: スギ花粉のすべて。メディカルジャーナル社, 117 pp. ISBN 4-944012-15-2.
1995年にでた A4判 横書きのペーパーバック。
【花粉症に関心のある学生がいるので、情報収集をはじめてみた。
「花粉情報協会」というNPO (ウェブサイト https://pollen-net.com/) があって、全国 (2025-2026年のばあい) 26地点の毎日のスギとヒノキの花粉飛散量のデータを発表している。その (2026-06-09現在の) 理事長は 村山 貢司 さん、事務局長は 佐橋 紀男 さんである。また、花粉飛散量についての文献検索をすると、佐橋さんがかかわっている論文がいくつも出てくる。しかし研究論文自体はわりあい短くて、前提となっていることがらの説明が簡単すぎる。前提となっていることの説明が別の文献を見てほしいとなっていることがあって、文献として本書の題名があげられていることがあった。
(記憶によれば 2026-05-26 に) 本書の題名と「図書館蔵書」で Google 検索してみると、「AIによる要約」のところに、検索者のいる地点を IPアドレスかなにかで判断して、そのもよりの公共図書館の名まえをあげ、そこにあると言っていた。その図書館へ行くことを学生にすすめかけたのだが、念のためその図書館のウェブサイトで蔵書検索すると、この本はない。いわゆる hallucination だ。2026-06-09 に検索をやりなおしたら、「AI Overview」は「全国の公共図書館にある」というものになった。前回、Google の「AI」はこれと同じような検索結果を得て「どの公共図書館にもある」「したがって検索者のもよりの公共図書館にある」と推論してしまったのだろうか?
本の通信販売サイトを見たら、本書は出版から30年以上たったいまも新刊書として流通していることがわかったので、注文した。
論文の参考文献として出あわなかったら、わたしは、この (あきらかに誇大宣伝といえる — あきらかなので、まあいいのだが) 題名の本はえらばず、もうすこし内容に深入りした題名の本をさがしただろう。】
ざっとめくってみたかぎりでは、出版の時点までのスギの花粉およびそれによる花粉症に関する知見を、著者たち自身の調査結果を中心に総合的にまとめたものといえそうだ。1995年以前の知見であることに注意する必要があるが、佐橋さんをはじめとする「花粉情報協会」の人たちの背景知識を知るうえでは適切な本なのだろうとおもう。
本書の著者紹介によれば、出版当時の著者のかたがきはつぎのようになっている。
– 佐橋: 東邦大学 薬学部 生物学教室 助教授、理学博士
– 高橋: 山形県 衛生研究所 主任専門研究員、医学博士
– 村山: 日本気象協会 気象情報部 主任技師、気象予報士
佐橋さんがスギという植物が花粉をだすしくみについて、高橋さんがヒトに生じるアレルギー症状について、村山さんが気象 (気温などの気象条件 および、風による運搬) の専門的知見を提供しているのだろう。
まだていねいに読んでいないが、ひとまずここで読書メモをだしておく。
折りかえしのあとに目次をつける。
===== 目次 =====
はじめに
著者略歴
第1章 空中花粉と花粉症
– 世界三大花粉症の歴史
– 花粉症発症のメカニズム
– スギ花粉の発生と形態
– スギ花粉の発育形態における抗原 (Cry j I) の産生と分布
第2章 スギの木の植物学
– スギの木と日本人
– スギの仲間と分類
– スギの人工林の分布と林齢構成
– ランドサット衛星データを用いたスギ森林分布図の作成
– スギの雄花の成長と花粉生産
第3章 スギ花粉の長期および短期飛散変動
– 空中花粉の季節変動
– スギ花粉の年次変動
– スギ花粉の日飛散変動
– スギ花粉の時間毎飛散変動
第4章 都会におけるスギ花粉飛散の動態
– 高層ビルでの垂直分布
– 東京タワーでの垂直分布
– ヘリコプターによる垂直分布
– 二次飛散のメカニズム
– 室内外での飛散比較
第5章 都市と郊外 (花粉源) でのスギ花粉飛散の動態
– 都市と郊外 (花粉源) の飛散変動の比較
– 東京都心と多摩地区の飛散変動の比較
– 山形盆地での飛散の動態
– 蔵王での飛散変動の比較
– 都会の花粉とスギ林 (花粉源) の花粉
第6章 花粉の大飛散と気象との関連
– 花粉雲の発生
– 花粉の輸送とウィンドシア
– 春一番と花粉の飛散
– スギ花粉飛散ステージと大飛散
– 気温と花粉の飛散
– 風と花粉の飛散
第7章 スギ花粉前線の推移
– スギ花粉前線作成の意義
– 過去8年間のスギ花粉前線の推移
– 初観測日と飛散開始日の関連
– スギ花粉前線の予測
第8章 スギ花粉の総飛散数の予測方法
– 前年夏の気象因子による方法
– スギ雄花の成長因子と気象因子による方法
– 雄花着生量の観測による方法
第9章 スギ花粉の飛散開始日の予測方法
– 1月の気象因子などによる方法
– 雄花の成長因子と気象因子からの予測
– スギ花粉前線からの予測
– 各調査地点の開花日からの予測方法
第10章 免疫学的手法を用いたスギ花粉測定の新しい測定方法 (イムノプロット法)
– スギ花粉抗原
– 空中花粉の免疫学的測定法 (イムノプロット法) とは
– イムノプロット法でえられた 2~3の知見
第11章 空中スギ花粉の分布状況の視覚化
– スギ花粉の拡散について
– スギ花粉の拡散シミュレーション法
– 関東地方を対象地域として開発された方法
– 場所ごとのスギの開花時期シミュレーション法
– 場所ごとのスギの開花時期を組みいれたシミュレーション法
第12章 スギ花粉情報
– 花粉情報のシステム化
– リアルタイムの花粉情報
巻末付録
– 空中花粉の観察方法
– 花粉症原因花粉の種類と形態
– 日本の花粉アレルギー報告一覧 (発表年代順)
巻末付録
===== ここまで =====