グローバル水・エネルギー循環に関するデータ

水収支

水蒸気量 W

• @ ラジオゾンデ ... 分布が限られる。
• 衛星(マイクロ波, 赤外) ... 今のところ鉛直分解能はあらい。
• 衛星とゾンデの合成
  • NVAP (Randel et al. 1996 BAMS) ... 1988--2001 (ただし2000以降はデータの質が大きく違う), 1度, 日
• 観測(ゾンデ, 衛星)と予報の合成 ... 4次元同化 (現業客観解析, 再解析)

水蒸気収束量 -div Q

• 4次元同化(「解析値」)にもとづく計算

降水量 P

• @ 雨量計 ... ほとんど陸に限られる。(とくに雪について)系統誤差がある。
• GPCC (ドイツ気象庁, Rudolf et al.) ... 1986--現在, 1度, 月
• 地上レーダー ... 陸の付近に限られる。
• 衛星(レーダー, 受動マイクロ波, 赤外, 可視) (赤外・可視は雲からの経験則)
• 雨量計と衛星の合成
  • GPCP (Huffman et al., 1997 BAMS)
    • 「ver. 2」: 1979--現在, 2.5度, 月
    • 「1DD」: 1997--現在, 1度, 日
  • CMAP (Xie and Arkin, 1997 BAMS): 1979--現在, 2.5度, 月
• 4次元同化の予報値 ... かなりバイアスがある (ただしNCEPの場合予報値と「解析値」のバランスはよい)。
• 観測と予報の合成
  • ISLSCP-1の場合: 月平均値をGPCC、時間配分をNCEP再解析によった。
  • GSWP-2の場合: 月平均値をGPCCまたはCRU、時間配分をNCEP Reanalysis 2による。

蒸発量 E

• @ 直接観測 (ライシメータ, 渦相関, 傾度法)
• 大気水収支の残差 ... 陸上の寒冷地帯ではよさそう。 ただし空間スケール1000 km以上。
• バルク式 ... 海上ではこれに頼る。 船の観測だけから計算したデータもあるが、衛星データも入れた同化がよさそう。

流出量 R

• @ 河川流量 ... 国によって観測や公開の度合いが違う。洪水時の水位流量関係はあやしい。
• 地下水流出についてはほとんどデータがない。

陸水貯留量 S

• 流域水収支の残差 ... 絶対レベルはわからない。
• 重力測定衛星(GRACEなど) ... これから出てくるデータ。絶対レベルはたぶんわからない。

Sの内わけ

• 土壌水分
  • @ 地上観測: 一部の国ではルーチン観測がある(地点の情報)。
• 積雪
  • @ 地上観測: 多くの国で積雪深, 一部の国で水当量あるいは密度の観測がある。
  • 衛星
    • 受動マイクロ波 ... 水当量が推定できる (問題はある)
    • 可視 ... 被覆のひろがりがわかる (問題はある)
• 湖, 河道貯留, 表面にあふれている水 ... 地形計測ができれば見積もり可能
• 地下水, 凍土の氷 ... 観測困難

エネルギー収支

「大気上端」の放射フラックス

• 衛星観測
  • 広い波長帯のフラックス総量の観測: Nimbus ERB, ERBE, CERES
    • Scanning sensors: 1979-80, 85-89, (熱帯 1998.1-8), 2000-現在
    • Non-scanning sensors: 1975--現在. 空間分解能があらい
  • 狭い波長帯の観測からの推定
    • AVHRRなどによる「OLRデータ」 1974-77, 79-現在
    • ISCCPによる「FD」データ(地表の放射データの項参照)
• 4次元同化は今のところ大きなバイアスがある (雲や水蒸気の予報の問題か)

地上のエネルギーフラックス (主として放射)

• 地上観測 ... 地点データ
  • @ GEBA (Gilgen and Ohmura, 1999, BAMS): 月値, なるべく全部集める
  • @ BSRN (Ohmura et al., 1998, BAMS): 時間値, 観測規格を統一
• 衛星観測による推定
  • ISCCP (AVHRRや静止衛星の赤外・可視画像センサー)の雲データによるもの
    • LaRC (Gupta) SRB SW LW Monthly: 1983.7--1991.6, 約2.5度格子, 月
    • LaRC/GEWEX (Stackhouse) SRB: 1983.7--1995.10, 1度格子, 3時間...ISLSCP-2に収録(ただしDVDには月平均値、3時間値はon-line)
    • U. Maryland (Pinker) SRB: 短波のみ, 1983.7--1998, 約2.5度格子, 日
    • GISS (Rossow, Zhang & Lacis) FD: 1983.7--2001.6, 2.5度格子, 3時間
  • ERBE, CERESによるもの

注