フーリエ変換の種類と性質

フーリエ変換 (広い意味) の分類

現実の現象は、時間、周波数のいずれも、有限の範囲に限られていることが多いが、 フーリエ変換のわくぐみに持ちこむ場合は、その範囲外の値は0である(無視できる)と 仮定するか、同じものが周期的にくりかえすと仮定するかのいずれかである。 なお、有限の範囲の量の変換として、 ウェーブレット(wavelet)変換というものが考案されている。

また、関連のものとして、 ラプラス(Laplace)変換 (時間領域が片側だけ無限の場合に使う)や、 z変換というものがある。 これらは、複素数の指数関数を使って定義されている。

「高速フーリエ変換」(FFT)は、離散フーリエ変換(DFT)の数値計算を効率よく行なう アルゴリズムである。

離散フーリエ変換は、ある条件(下に述べる)のもとではsin, cosのうち cosだけでできる。このようなものを離散コサイン変換(DCT)ということがある。

フーリエ変換 (広い意味) のおもな性質

実数表現と複素数表現 (フーリエ級数展開の場合)

• 指数関数と三角関数の関係

  eiωt = cos ωt + i sin ωt
  
  e-iωt = cos ωt - i sin ωt
  

• 実フーリエ級数展開 (次の式はむしろ級数「合成」の式)

  f(t) = a0/2 + Σk=1∞ ( ak cos kωt + bk sin kωt )
  

• 複素フーリエ級数展開

  f(t) = Σk=-∞∞ ( Ck exp( ikωt ) )
  

• 係数の関係

  k > 0 ... Ck = ( ak - i bk ) / 2
  k = 0 ... C0 = a0/2
  k < 0 ... Ck = ( a-k + i b-k ) / 2
  

• 対称性のある場合 (ただし、f(t)が実数と仮定)
  • 偶関数 f(-t) = f(t)
    • 実数表現では、b_kがすべて0
    • 複素数表現では、C_-k = C_k
  • 奇関数 f(-t) = -f(t)
    • 実数表現では、a_kがすべて0
    • 複素数表現では、C_-k = -C_k

参考文献

• 春日 隆, 1993: フーリエ級数の使いみち (物理数学 One Point 5)。 共立出版, 121 pp.
• 雨宮 好文 監修, 佐藤 幸男 著, 1987, 1999: 信号処理入門(改訂2版) (図解メカトロニクス入門シリーズ)。 オーム社, 159 pp.
• 日野 幹雄, 1977: スペクトル解析。 朝倉書店, 300 pp.
• 伏見 康治, 赤井 逸, 1981, 1987: 直交関数系 (増補版)。共立出版, 259 pp.

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